学ぶ

【10月5日(日)】第42回アルペン口腔科学フォーラム

特別講演 抄録

講師 広島大学 大学院医系科学研究科 歯髄生物学研究室
教授 柴 秀樹

 セメント質剥離は、セメント・象牙境やセメント質の成長線に沿って、完全または不完全にセメント質が剥離する病態であり、高齢者に多くみられるのが特徴です。人生100年時代を迎えた現代においては、本疾患の症例数は今後さらに増加すると予測されます。
 適切な診断を行うためには、セメント質剥離の病態や、診断に必要な検査について正確に理解することが重要です。また、根尖性歯周炎、歯内・歯周疾患、歯根破折、侵襲性歯頚部外部吸収などとの鑑別診断も不可欠となります。
 治療法は、症状の有無や剥離したセメント質片の位置に応じて異なります。経過観察、スケーリング・ルートプレーニング、歯肉剥離掻爬術、歯周組織再生療法、歯根尖切除術などのさまざまな外科的処置が選択肢となります。
 本講演では、セメント質剥離の原因、診断に必要な検査、鑑別すべき疾患、そして治療法について解説いたします。とくに歯根尖切除術については、関連文献を提示しながら、近年の動向や注目されるトピックにも言及する予定です。最後に、実際の症例を提示し、臨床現場での理解を深めていただきます。