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【10月3日(金)】富山県エイズ歯科診療ネットワーク事業研修会

抄録

国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター 歯科・口腔外科
丸岡 豊

 私の勤務する国立国際医療センターは組織内に国際感染症センター(DCC)、エイズ治療・研究開発センター(ACC)などを擁し、感染症、国際医療協力等を使命とするナショナルセンター唯一の総合医療機関でありましたが、今年度から隣接する国立感染症研究所と統合し、日本版CDCを目指し、世界トップレベルの感染対策を牽引すべく、「国立健康危機管理研究機構」として再編されました。
 2023年のHIV新規感染者の報告数は669件で、7 年ぶりに増加に転じ、同年の新規AIDS患者数も291件と、3年ぶりの増加を示しました。2014年以降減少傾向にあった流行動向が反転したことは、今後の動向を注視する必要性を示唆しています。さらに、近年は 梅毒患者の急増も懸念されています。
 こうした状況の中、私たち歯科医療従事者は、知らず知らずのうちにHIV陽性の方や梅毒患者などの診療に携わっている可能性が高く、日常診療における感染対策の重要性は一層増しています。感染予防策を講じていても、針刺しを含む体液曝露事故を完全に回避することは困難であり、現場での備えが不可欠で
す。
 また、COVID19の流行に際しては、「歯科はエアロゾルを多く発生させる診療科である」との認識が広まり、多くの歯科医療機関が一時的に診療制限を余儀なくされました。この経験を通じ、エアロゾル対策を含む感染防御のあり方について再検討が求められています。
 本講演では、HIV陽性の方や梅毒患者への歯科的対応、 HBVに感染している方に対する院内感染対策、そして新型コロナウイルス流行下のエアロゾル対策の実際を振り返り、今後の感染対策について皆様と共に考える機会としたいと存じます。

※お申し込みは、WEBフォームから承っております。