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【9月7日(日)】令和7年度 第1回 歯科衛生士スキルアップ研修会

抄録

矯正歯科専門医 近川 美喜子

 近年、小児う蝕が激減し、歯肉炎などの歯周疾患の罹患状況も改善されつつある中で、口腔機能発達不全症が注目されています。口腔機能管理料が 2018 年に新たに健康保険適応となり、2022年には 18歳まで対象年齢が拡大され、多くの歯科医院で対応されていることと推察いたします。
 口腔機能発達不全症というのは、「食べる機能」「話す機能」「呼吸する機能」が十分に発達していないか、正常(「定型」といいます)に機能獲得ができていない状態で、明らかな摂食機能障害の原因疾患を有さず、口腔機能の定型発達において個人あるいは環境がもつ因子に専門的な関与が必要な状態と定義づけられています。
 子供の口腔機能は 0~1歳半に大きく発達し、乳臼歯が生えそろう3歳頃から永久歯の生え変わりが終了する 14~15歳頃までの時期に習熟していきます。口腔機能は成長と共に自然に発達するものではありません。特に0歳から1歳半までの基本的機能獲得期にどのようにかかわり、いかに正常な機能の発達を促すかという知識が必要となります。
 ところが、口腔機能発達不全症は本人はもちろんのこと、保護者も全く気づかないことが多いものです。かかりつけ医として継続して家族ぐるみで診ている歯科医院の歯科衛生士の皆さんこそが、その兆候に気づける存在です。ぜひ皆さんに、最初の相談窓口になって頂きたいという願いから、今回は、口腔機能発達に一番大切な基本的機能獲得期における歯科としてのかかわり方、そして口腔機能発達不全症への対応を、実習も含めてお話させていただきます。
 是非明日からの臨床に生かしていただきたいと思います。

講師略歴

1986 年大阪大学歯学部卒業
大阪大学歯学部矯正歯科学教室入局
大阪大学歯学部付属病院勤務
1991 年日本矯正歯科学会認定医取得
1992 年 大阪逓信病院口腔外科医長就任
1993 年南砺市にて開業
2001 年高岡市にて開業
2003 年アメリカ矯正歯科学会国際フェロー
世界矯正連盟(Worldfederationoforthodontics)認定医
2008 年 日本矯正歯科学会臨床研修施設指導医
日本舌側矯正歯科学会認定医
2012 年日本矯正歯科学会臨床指導医
2024 年日本歯科専門医機構認定矯正歯科専門医

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